図書館はただ本を配架して、貸出と返却作業を行うだけではありません。
図書館の膨大な蔵書の中から利用者が面白いと感じてくれる、必要だと思ってくれる資料をピックアップし、利用者の目の届きやすいところに配置する展示を計画するのも図書館員のお仕事です。
今回は実際に私が働いている図書館で展開した企画展示で人気だったものをご紹介したいと思います。
企画展示を考えるのも図書館員の仕事
冒頭にも述べたように、企画展示を考えるのも図書館司書の立派な仕事です。
基本的に企画展示にあげられる図書は利用率がかなり上がります。
しかし利用者の求めていない資料は企画展示に出しても借りられません。
普段の利用者の貸出傾向や受けるレファレンス、時期などを鑑みて企画展示を考える必要があります。
人気の企画展示
まずは大学図書館で人気の企画展示をご紹介します。
やはり利用者が必要性を最も感じるテストや就活関連に関する図書や興味を引く作品が多いです。
1.レポート・論文の書き方
やはり大学生と言えばレポートや論文の提出は必須ですよね。
学部によっては卒業論文を書かなければならず、大学生とレポートは切っても切れない存在だと言えます。
にもかかわらず、ほとんどの学生さんがレポートの書き方を知りません。
1年生の試験では参考文献や引用の書き方などいろいろなルールに苦しみながらレポート書く方が多いと思います。
そんな1年生の味方となるべく、レポート・論文の書き方に関する本を集めて展示しています。
毎年通年で置いていますが、いつも貸出数はどの展示よりも多い人気展示となっています。
2.就職活動
レポートの書き方が1年生向けに比べて、こちらは3・4年生向けの展示です。
大学卒業後多くの学生が就職をするため、就職活動のノウハウ本の人気はすごいです。
企業研究・面接やエントリーシートの書き方からSPIの問題集などジャンルは幅広いです。
私の図書館では教職課程もあるため、各地方の教職問題集も揃えています。
1・2年生のときは全く図書館に来なかった人でもこちらの資料を求めて来館されます。
3.本屋大賞などの受賞作品
上記2点は大学生が必要とする情報を集めた企画でしたが、こちらは本好きの学生さんにとても人気の企画です。
本に関する賞として割と話題になる本屋大賞・芥川賞・直木賞・ノーベル文学賞あたりを発表時期に合わせて展示しています。
こういった賞を取った図書は公共図書館では数十件の予約待ちになるのですが実は大学図書館は利用区分が限られている分かなり借りやすいです。
そのため、学生でなく近隣の一般の方が狙って借りにくることもよくあります。
しかし、大学図書館は研究書や学術書をメインで取り扱うので学校の予算などによって小説は後回しになりがちです。
賞をとったからと言ってすぐに配架されることは少ないのです。
そういった時は前年度の受賞作や、同じ作者の別作品を並べています。
意外と人気の企画展示
お次は、上記の企画ほど大人気ではないものの、出してみたら意外と人気だった企画をご紹介します。
これは大学の特色によって違うかもしれませんね。
1.大学生活ノウハウ本・20歳に向けたメッセージ本
大学生活を始めたばかりで不安な学生もいつかと思い、大学生活に関する本や20歳になる人に向けた本を集めてみました。
あまり多くはなかったのでこじんまりとした展示になってしまいましたが、貸出数は多くないものの展示の前で足を止める方や閲覧席で見ている方が多かったです。
特に人気だったのが、話題作『嫌われる勇気』でした。
2.所属教員の執筆した本
大学ではほとんどの学生がゼミに所属する必要があります。
ゼミは自分の大学での研究指針を決める重要なものです。
そのため、担当教員がどのような研究をしているのか、どのような人物かなどを知ることができる教員の本を参考に読んでいる学生は多いです。
貸出が増えるかどうかは怪しいですが、ブラウジング率は高いのでおすすめです。
3.スタッフのおすすめ本
書店に行くと、素敵なポップと共に本が紹介してあってとても購買意欲が高まりますよね。
これを図書館でも出来ないかと最近自作ポップを取り入れてみたのです。
すると貸出率がアップ!一度も借りられていなかった本が何度も借りられるようになりました。
大学図書館という性質上書店ほどはっちゃけることが出来ないのですが、目にとまりやすいポップは効果が絶大ですね。
企画展示で大学生を応援しよう
企画展示を行うと利用率が上がるだけでなく、図書館が華やかになります。
受け身の体制では利用者はなかなか来てくれません。
大学生を思いやる展示をすることで「図書館が味方になってくれる、困った時に助けてくれる」と感じてくれる学生も増え、図書館の必要性を感じてくれます。
そのために、日頃の利用者の動きやレファレンス、学校行事など様々なところにアンテナを張って展示のネタを探し続けることが大事です。
また、「自分がやりたい・楽しい」と思う展示をやってみるのもアリだと思います。
自分の好きなジャンルだと自然とラインナップやポスターに力が入り、それが利用者にも伝わると思います。
とにかくいろいろな企画にチャレンジしてみましょう。
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