ILL業務って何するの?

仕事内容
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今回は大学図書館での大事なお仕事、ILLについてご説明したいと思います。

公共図書館では県立図書館など大きな図書館以外ではあまり馴染みの無い業務かもしれませんが、大学図書館ではほぼ当たり前に導入されているシステムです。

大学図書館司書を目指す方はぜひ知っておいてほしいです。

ILLとは

まず最初にILLという業務とは何かをご説明します。

自館では利用者の求める資料が提供できない場合に、他の図書館の協力を得て提供する、図書館間協力の仕組みの一つ。ILL(Interlibrary Loan)とも呼ばれる。利用方式には、資料現物を資料所蔵館から取り寄せる現物貸借、資料のコピーを所蔵館から取り寄せる文献複写がある。近年、図書館の種別(国公私立大学図書館、公共図書館等)を越えた相互貸借が広がりつつある。

文部科学省 用語解説

私達はILLと略して読んでいることが多いですが、正しくは図書館間相互利用といいます。

いくら多くの本を所蔵している図書館でも、所蔵していない資料というのは必ず存在します。

研究にどうしても必要な資料が所属大学の図書館になかったら……諦めると研究内容のグレードが落ちてしまう。だからといって自分で買おうと思うと研究書や外国の本などは高額でなかなか手が届かない。雑誌は購読終了してしまい手に入らない。

そういうときに、「他の持っている図書館にお願いして貸して/コピーしてもらう」のがILLです。

ILL業務はFAXやメールなどでやりとりすることも稀にありますが、基本的には国立情報学研究所が提供するNACSIS-ILLというシステムを用います。

依頼

依頼は学生や教員などが取り寄せて欲しい資料を持っている大学を探して資料を貸してもらえるようにお願いする業務です。

その資料を持っている大学を探すのはシステム上難しくはないのですが、文献複写にしても現物貸借にしても、所蔵している大学によって料金や貸出期間が異なります。

文献複写だと見開き1枚あたり35円~50円あたりが相場です。

現物貸借では2週間しか貸出期間が無い大学もあれば、1ヶ月貸出してくれる大学もあります。

ILLは基本的に有料のサービスです。

利用者がお金を払う以上、よりよい条件で資料を取り寄せられるように努力をしなければなりません。

依頼の流れ

依頼業務の簡単な流れです。

1.利用者から申し込みを受ける

2.その資料が本当に図書館に所蔵がないか、機関リポジトリやデータベースに公開されていないかをチェックする

3.CiNii BooksとNACSIS-ILLで所蔵図書館を探す

4.NACSIS-ILLのシステム上で取り寄せたい資料の情報を正確に入力する

5.数日後郵送で資料が届くので間違いがないかチェックする

6.料金を計算し利用者へ連絡、お渡しする

7.(現物貸借の場合)利用が終わったら資料を梱包し所蔵館へ送り返す

依頼自体はシンプルですが情報のチェックや届いた資料のチェックなど、チェック作業の多い業務です。

受付

依頼業務とは逆に、他大学から自館に所蔵している資料の取り寄せの依頼が入った際にその資料を依頼館に送る作業です。

文献複写であれば雑誌のコピーをとり、現物貸借であればその図書を郵送します。

一見簡単そうに見えますが、資料の文字が潰れないようにコピーを取ったり枚数のミスが無いように数えたり、巻号や版に注意したりとこちらもチェック作業の多い業務です。

多くの大学図書館では、複写料金や送料のやり取りをILL相殺サービスを使って精算しています。

この相殺サービスについてはなかなか難しくて説明しずらいのですが、簡単に料金のやり取りができないので一つのミスが面倒くさい処理に繋がったりします。

なので基本的には間違いのないようにせねばならず、ミスが許されない業務です。

受付の流れ

受付業務の簡単な流れです。

1.NACSIS-ILLシステムを通して他大学より依頼が届く

2.その資料を実際に持ってきて状態をチェックする

3.(複写依頼の場合)該当論文をコピーし、料金を計算する

4.資料を梱包し、郵送で送る

5.(現物貸借の場合)図書が帰ってきたら返却処理をする

複写依頼の中にはページ数がとても多いものやコピーしづらい資料もあり、苦戦することもしばしばあります。

“照会”と”謝絶”について

NACSIS-ILLには”照会“と”謝絶“というシステムもあります。

照会は依頼を受けた際に実際の資料と依頼内容に相違があった場合など、依頼館に確認事項がある場合に使用します。

例えば「依頼内容には「pp.1-10」の複写と書いてあったのに実際の論文はp.20まであった。これは論文全部をコピーしていいのか、p.10までしかいらないのかどちらだろう?」など、自分の判断で送って良いのか悩んだときに確認を行います。

謝絶は依頼を受けたものの、その資料の状態が悪く貸出・コピーに耐えうる状態ではない場合やそもそも所蔵していなかったなど、依頼に応えられないため断る場合に使用します。

謝絶された場合は改めて別の所蔵館を探し依頼をしなければなりません。

大学図書館にとってILLは外せない業務の一つ

研究やレポート作成にあたって、他大学の資料というのは必ず必要になってきます。

そういった時に「無いから諦める」のではなく、「どうにかして入手する」お手伝いをするのも大学図書館司書の仕事です。

私はILL担当なので一日の半分以上この作業にあたっていますが、難しかったりチェックが多かったりで大変さを感じつつもやりがいを感じています。

ちなみに今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で他大学への訪問利用が一切なくなった分、ILLの利用がとても増えました。

※しかしオープンアクセスジャーナルの普及や機関リポジトリの推進など、論文をインターネット上に公開しようという動きが活発になっている昨今なので、本来ならばILLの件数は減少傾向にあります。

システムはとてもシンプルなので、業務しながら覚えることは可能なので未経験の方もご安心ください。

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